マウスピース型矯正装置(インビザライン)
透明なマウスピースを使って歯並びをきれいにする方法は2008年頃より日本でも普及し始めました。そして、2017年頃より急増しています。
従来型の金属ブラケット装置を使った矯正法に比べて、装置が目立たないため人気のある矯正法です。歯並びをきれいにしたいと思っていたけど、矯正装置に抵抗があり治療を受けることを躊躇っていた人達が、マウスピース型矯正装置(インビザライン)の登場で矯正治療に踏み切れるようになりました。
目次
マウスピース型矯正装置(インビザライン)とは
透明なマウスピースを1日20時間ほど付けて生活します。1つのマウスピースを約1週間装着し、その後、新しいマウスピースに付け替えをして1週間過ごします。この繰り返しを1年半から2年半行うことで歯並びがきれいに整っていきます。
マウスピースをつけるだけで、なぜ?歯並びがきれいになるのか
マウスガードとして使うマウスピースは、今の歯並びと同じ状態のマウスピースを作ります。一方、歯列矯正用として作られるマウスピースは、今の歯並びとは違う形のマウスピースを作ります。歯は力を加えると動きますので、異形のマウスピースを付けることで歯に力が加わり、歯が動いています。
従来型の矯正法との違い
従来型のブラケット矯正(唇側矯正や舌側矯正)との違いは、見ての通り装置がまず大きく違います。ブラケット矯正では、ブラケットにワイヤーを通して歯に力を加えますが、マウスピース型矯正装置による矯正では、アタッチメントでマウスピースを固定して歯に力を加えます。
ブラケット矯正は1つ1つの歯に個別に力を効果的に加えることが得意ですが、マウスピース型矯正装置は得意ではなく、歯列全体に力を加える方法を取ります。これが、マウスピース型矯正装置の限界を引き起こす要因になり、一般的にブラケット矯正の方が、仕上がりがきれいになることが多いです。
マウスピース型矯正装置の危険性と回避する方法
2019年5月に、日本矯正歯科学会より「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」というポジションステートメントがリリースされました。
本ポジションステートメントでは、
- 歯科医師が介在しないマウスピース型矯正装置の危険性
- マウスピース型矯正装置における検査、診断の重要性
について触れています。
歯科医師が介在しないマウスピース型矯正装置の危険性
マウスピース型矯正装置には、歯科医師が介在するものとしないものの2種類が存在します。例えば、マウスピース型矯正装置の1つである「インビザライン」は歯科医師による印象採得(検査)、治療計画を元に作成されます。一方、歯科医師が介在しないマウスピース型矯正装置もあります。
それは、自宅に印象採得キットが送られてきて自分自身で印象採得を行い、採得した歯型を郵送するとマウスピース型矯正装置が郵送されてくるという方式のものです。この場合、マウスピースを受け取るまでに歯科医師と関わることがありません。歯科医師による診察なしでマウスピース矯正を始めることになります。
歯科医師が介在しないため、費用、時間において消費者がメリットを享受するように捉えられがちです。しかし、これは危険です。日本矯正歯科学会のポジションステートメントでは、「患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。」とあります。
マウスピース型矯正装置における検査、診断の重要性
同時に、同ステートメントでは、「大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨します。」とあります。マウスピース型矯正装置による矯正を検討中の方は、該当する歯科医師または歯科医院にて相談することが望ましいです。